つくば市:茎崎町大井(旧下大井)の香取神社

つくば市茎崎町にある香取神社(茨城県つくば市茎崎町大井)を参拝してきた。円墳があったとされている。道山古墳群の北方に位置しており,連続した文化圏に属していたのではないかと思う。畑の中にぽつんと古い巨樹の林があり鳥居が立っている。近くの公民館のようなところに車を停め,そこから徒歩で神社に向かった。

平坦な低地のように見えるけれども標高は21メートルほどあるそうだ。周辺には非常に長い間にわたって人々が暮らしており,縄文時代から今日に至るまでの遺跡等が多数ある。車道から脇道に入り,畑の中を通り,鳥居をくぐって神社に至り,まずは参拝した。この神社では,経津主命を祭神とし,大山咋命・市杵島姫命・菅原道真公を配祀神としているとのことなので,本殿が経津主命,本殿の左にある3つの小さな祠が大山咋命・市杵島姫命・菅原道真公ということになるのだろう。鳥居につけられていた竹からも海神(籠)としての経津主命が示されているように思う。

香取神社
全景と鳥居


香取神社
本殿と摂社


本殿を中心部と仮定し,樹木の生えているあたりが円形に少し高くなっていることから,この場所には大きな円墳があったと推定されている。しかし,Google Mapの航空写真をじっと観ていると,周辺の土壌及びそこに生えている植物の色合いが土中成分の相違に対応して微妙に異なっていることを知ることができる。あくまでも素人の空想に過ぎないが,本当は,かなり巨大な前方後円墳であり,その外側に環濠をもっていたと推定している。試みに図面を合成してみた。白い点線が推定した前方後円墳で,灰色点線部分が側面のはりだしテラス部分,外側の四角形点線部分が推定した環濠となる。環濠の東側は段丘斜面で,当時はすぐに海(霞ヶ浦に続く内湾の一部)になっていたのではないかと思う。

香取神社
私的推定図


本殿の鬼瓦部分にある紋は「茶の実」の紋ではないかと思う。その下にあるものはよくわからない。その他様々な装飾が施されているのだけれど,何となく「聖天」または「天尊」と関係するものではないかと思った。

香取神社


香取神社


香取神社


香取神社


香取神社


摂社は,石でできた小さな祠で,その全てに「月」の紋がある。この香取神社の北方には月読神社があるから,月読神と何らかの関係があるのではないかと思う。この3つの祠の基壇に用いられている岩盤は,明らかに古墳の石室に用いられていたものと判断できる。諸説あり,この香取神社にあった古墳が破壊された後に残されていた石材ではなく,近隣の別の古墳からもってきたものだとの見解もある。意味深だ。

香取神社


香取神社


本殿の裏側には,かつて石塔の基壇だったのではないかと推定される石材が半ば土に埋もれていた。

香取神社


拝見し終えて鳥居のところまで戻ると,小さな道祖神の祠があった。あとで調べてみたら,その敷石となっている平たい岩盤はこの香取神社にあった古墳の石室の残骸なのだそうだ。問題は,この小さな祠の向きだ。香取神社のほうを向き,互いに向かい合っている。つまり,鳥居の正面から見ると,この祠は外に向かって背を向けていることになる。もちろん,東日本大震災の際に倒れ,間違った方向で立て直されてしまったということはあり得ることだと思う。しかし,もともとこうだったと仮定すると,色んな解釈が可能だと思う。この小さな祠には菊紋があり,旭日紋にも見えるから,摂社にある月紋とはちょうど対応関係があることになる。私は,上記の推定図でテラス部分のところに築造当初の祭礼施設があったと考え,その向こうには筑波山が見えるから,この小さな道祖神はこの古墳の主の子孫(祖を礼拝する者)であり,現在でも筑波山に向かっているのではないか・・・などと考えてみた。

香取神社


香取神社


この香取神社にあった古墳が実質的にはほとんど全部失われてしまっていることは,まことに惜しむべきことだと思う。


  埼群古墳館:つくば市
  http://sgkohun.world.coocan.jp/archive/index.php/category/ibaraki/tukuba/k_kukizaki/

[追記]

仕事で通勤する電車の中でいろいろと考えている間に,別の見方も可能かと思い始めた。この古墳は2度破壊されているかもしれないという仮説だ。その仮説に基づき別の画像をつくってみた。

香取神社
私的推定図2


ただし,この仮説だと,墳丘部だけで長さ100メートル以上になってしまう・・・


この記事へのコメント

2014年04月10日 11:32
鳥居から古墳が始まっていると思うのですが、本当に惜しまれますね。

最近私も気にして見ていますが、各所の神社で御祭神と明記してあるものと別の御祭神が見え隠れしていますね、興味深いです。
2014年04月10日 11:41
緑屋さん

どう考えても鳥居のあるところは,この古墳の当初の敷地内です。墳丘が鳥居のところまであったとは思えませんけど,基壇的なものはあったに違いありません。相当大きな古墳ということになります。

もしかすると,月読神が眠っていたのかも・・・などと想像を膨らませます。

神社の祭神に関しては,ずっと昔から間違いないものと,よくわからないものとがありますね。よくわからないものの中には,明治時代に神社によって現在あるもののように比定されたものがありますが,これは推定の一種ということになると思います。

また,同一神でありながら『古事記』と『日本書紀』とでは別の名前で登場する神が多数ありますので,名寄せのような作業をしながら考えないとよくわからなくなってしまいます。

最近は,現代の地形等によってではなく,古代の地形等をイメージしながら,「どういう神であればその場所にふさわしいか」などと考えたりすることもあります。

この記事へのトラックバック

  • つくば市:今宮神社

    Excerpt: 過日,今宮神社(茨城県つくば市上横場)を参拝してきた。小さな神社で,別段何の特徴もないように見える。しかし,Googleで航空写真を見てみると,どうも大きな円墳または前方後円墳だった場所ではないかと思.. Weblog: 怠け者の散歩道 racked: 2014-10-04 22:13