大田原市佐良土:諏訪神社

過日,諏訪神社(栃木県大田原市佐良土)を参拝した。祭神は,健御名方命。
諏訪神社の境内では大捻縄引と呼ばれる行事が行われることで知られている。この行事は,国選択無形民俗文化財に指定されている。
下記の文化庁月報には,この行事の由来に関し,「大捻縄引の起源については定かではないが,永正17年(1520)8月,那須資房と白河義永が箒川沿いの縄釣台で合戦に及んだ際,箒川の崖で両軍が縄の引き合いをしたことが始まりとも伝えられている」と記されている。
現在ではのんびりとした田園地帯なのだが,むしろそのように豊かな土地であるからこそ,那須氏と白河氏とが土地の支配権をめぐって抗争することになったのだろう。

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参道


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鳥居


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拝殿と土俵


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本殿


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境内社


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諏訪神社付近から見える景色


領土拡張のための抗争だけではなく,農民の間の土地争いに関しても,現代の若い世代にはなかなか理解しにくい面があるかもしれない。それは,米による現物納税(年貢)ではなく金銭納税の制度が導入されて長いことに起因する先入観または固定観念のようなものによるものと考えられる。
しかし,土地を領有するということは,単に支配欲や名誉欲を満たすことになるというだけではなく,領有している土地の広さに正比例した税収(年貢)の増加を直接に意味する。つまり,かなり現実的な富の増加を意味する。だからこそ,領地の拡張にがむしゃらになるのだ。
一般に,日本史において,土地の支配権をめぐる様々な抗争の動因や構造について考察するときは,政治学を基礎とするだけではなく経済学を基礎としても調査・検討・考察しなければならない。一般的には,感情論よりも損得勘定から考察してみたほうが合理的に説明可能な場合が多い。
ただし,中世~戦国時代においては,古代から続く名族と自認する一族が多数残存していたはずだ。それらの人々は,相当にプライドが高かったと推測される。そのために時代の変化に追いつけずに滅びたという面があることも否定できない。そのような側面においては,人間の自尊心や功名心のような心理にも目を向けなければならない。
ただし,そうであるとは言っても,古来の名族の頭領ともなれば一族を生存させる責任を負っているので,どうすれば生存できるかを真剣に考えたのだろうと思う。しかし,どんなに明敏な頭脳の持ち主であっても,「名族の後裔である」というプライドが邪魔して,その判断が曇ってしまうことがあるということを指摘したい。
なお,ひとくちに経済学といっても分野が広い。私自身は,理論経済学ではなく,経済史の分野を重視している。理論経済学には屁理屈が多すぎ,現実の生きた経済現象とは無関係に理屈を玩具にしているだけのような場合や単なる政治的イデオロギーの変形物に過ぎない場合も多い。経済史の分野においても,その研究者がどのような人物であるかは別問題だし,私が若い頃には,経済史の研究者はマルクス主義一色のような状態だった。このことが日本国の経済史の分野における研究を衰退させた最大の要因だと理解している。私自身は,独学によりコツコツと経済史を勉強してきた。経済史の理論面に関しては,関連する古典の原書をとにかく読破し,理解するということに尽きる。事実としての経済史に関しては,結局,歴史学や考古学の応用として,可能な限り広く,かつ深く,地道に,実物や資料等を実見し,検証し,考察し続けるしかない。



 大田原市:大捻縄引
 https://www.city.ohtawara.tochigi.jp/docs/2013082779502/

 文化庁月報平成25年7月号(No.538)
 https://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2013_07/series_07/series_07.html

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