千葉県長生郡長柄町:長柄横穴群(その2)

過日,長柄横穴群(千葉県長生郡長柄町)を見学した。
長柄横穴群の第1支群所在地には立派な駐車場と史跡長柄横穴群資料館があり,横穴群全体の配置図がある。
配置図に従い,順に横穴墓を見学した。
第1支群第2小支群は8基の横穴墓によって構成されており,小支群の中では最も大規模なもののようだ。
横穴墓の中には梯子か階段によって少し登って供養するような構造をもっているものがあり,
一般に,「土葬」とは樽などの棺に遺体を入れ,または,棺に入れないで,そのまま土の中に埋めるような埋葬方式を連想することが多いかもしれない。しかし,古代のある時代においては,土葬とは,このような横穴墓に遺体や副葬品等を蔵置する行為のことを指したのかもしれないと思う。そして,葬儀の後においても墓室入口を完全に閉鎖せず,遺族が故人の遺体等を供養し,墓室内を手入れをし続ける場合があり,また,必要に応じて追葬したりするために二次利用したのではないかと想像される。墓室によっては,墓室の前に供養のための建物が存在した場合もあったのではなかろうか。

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第1支群第2小支群所在地


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第1支群第2小支群の全景


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第1支群第2小支群のイメージ図


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第5号墓


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第5号墓の説明板


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第5号墓~第7号墓の所在地付近


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第6号墓


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第7号墓


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第6号墓・第7号墓の説明板


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第8号墓


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第8号墓の側壁部分


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第8号墓の内部


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第9号墓


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第8号墓・第9号墓の説明板


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第10号墓


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第10号墓の説明板


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第11号墓・第12号墓の所在地付近


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第11号墓


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第11号墓の内部


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第11号墓の説明板


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第12号墓


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第12号墓の説明板


現代においては,祖先の遺骸(ミイラ化した遺骸や白骨化した遺骸)を子孫が直接目にしながら供養することなど,恐ろしてできないと感じる人が多いかもしれない。
しかし,中国南西部~東南アジアの少数民族の中にはそのような葬祭様式を現在でも維持している人々が存在する。また,古代エジプトの集合墓のような施設に並べられたミイラや,ローマ市等の地下に存在するキリスト教徒の集合墓(カタコンベ)のような例もある。それゆえ,蔵置された遺体や葬祭様式に対する感性の相違は,相対的なものだと理解すべきだと思う。
一般に,祖先崇拝というものを理解するためには,そのような発想も可能であるような柔軟な思考能力が要求される。観念としての祖先を信仰するのではなく,墳墓に蔵置された祖先の遺骸や遺骨等を直接に礼拝するような様式のものもあり得るのだ。
一般に,ある特定の宗教の宗教観または政治的イデオロギーだけを基礎とする感性を正当とするような考え方は,少なくとも学術上では,一切認められない。日本国憲法は,信教の自由と学問の自由を保障している。
第1支群第2小支群の横穴墓の幾つかを見ながら,そのように思った。

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