クロバエの一種?

先日,自然観察の森の中でごく普通っぽいハエを見た。その後,写真を拡大してみたところ,よくわからなくなった。クロバエの仲間なのだろうと思うのだけれども,同定できない。
ハエは何でも「蠅」としてしか扱わない時代が非常に長く続いてきたし,まともに生態を観察しようとする者が研究者としてのポストを得る機会が非常に限られている。今後もそうだろう。
しかし,細かいことがほとんどわかっていないことが多い。分類上の特徴がわかっていても標本を顕微鏡で観ないと識別できないことが普通なので,写真だけから識別・同定することが不可能なことが多い。
もし人間にとって非常に有益なハエの仲間がいたとしても,要するに「蠅」として扱われてしまう。

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私の考えでは,昆虫のような小動物を含め,世界を構成する要素に関しては,まだよくわからないことのほうが圧倒的に多い。百科全書派のような考え方や現代の硬直化した秀才的な頭脳の持ち主は,暗記するための知識が既に揃っているという前提でものごとを考える。しかし,事実を観察した結果というものは,要するに観察者の主観に過ぎないので,「完全な知識」なるものは存在しないし,それを完全なものとして暗記するだけの者は実は全く何も知らないのと同じだということを理解すべきだろうと思う。

「知識」は思考作用の一種なので,固定的なものではない。それゆえ,図鑑に書かれた符号が「正しい知識」だと鵜呑みすることは危険なことだ。実際に,動植物の分類は,過去10年間で非常に大規模に修正されてきたし,これからますますそうなるだろう。「10年前に獲得した知識が現時点ではほとんど役立たない」というようなことが頻繁に起きるようになる。

それゆえ,生の事実を直視し,観察するようなタイプの研究者を今後大量に養成し,それらの研究者が生活できるようにするためのポストを確保する必要がある。

明治時代に輸入された「西洋の文明」を再生産的に伝授するだけのようなタイプの旧帝大的な学問は既に破綻している。

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