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zoom RSS 秋風辭「蘭に秀あり」?

<<   作成日時 : 2015/11/08 16:36   >>

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『中国名詩選(上)』(岩波文庫)の改訂版が出ていたので購入して読んだ。「秋風辭」という詩が収録されている(152頁)。その注釈(153頁)によると,「蘭」は「フジバカマの類」と書いてある。この詩の内容は,「草木黄落」つまり草木が枯れ果てた後の晩秋の頃に「蘭あり秀また菊あり芳」として蘭と菊を愛でるものだ。

そこで,雨の中をつくば植物園まで出かけ,フジバカマ(Eupatorium fortunei)の姿を観察してきた。

なるほど,これが「蘭あり秀なのか・・・」とどぎつい皮肉を言いたくなるところなのだが,要するに,通説の解釈が完全に間違っているということの一言に尽きる。晩秋にはまだ早いが,既に枯れ始めている。花はなく,キク科特有の形状をした果実の毛状の部分が薄茶色に残っているだけ。周囲に漂う芳香の類は全くない。

Eupatorium fortunei


Eupatorium fortunei
フジバカマ(Eupatorium fortunei)


草木が枯れ果てた後の季節にも青々とした秀麗なる葉を凛として立てている蘭は,寒蘭のようなシンビジウム属地生蘭以外にはあり得ない。その花は,かなり寒い時期に開花し,(品種にもよるが)極めて秀逸な香りを漂わせる。

『楚辞』にある蘭は『文選』の版のほうが正しいと推定され,おそらく,寒蘭の類のラン科植物の白花品で,その花から非常に優れた香りを漂わせる品種のことを「蘭」と呼んだのだろうと思われる。

これまでずっと時間をかけて日中のほぼ全ての文学作品について「蘭=フジバカマ説」の誤りを検証してきた。時間がなくて,その検討結果の中のごく一部しか公表していない。

しかし,誤りは誤りなので,1日でも早く修正されるべきだと思う。

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冬の藤袴
つくば植物園でフジバカマ(Eupatorium fortunei)を見てきた。地上部は既に全部枯れて枯木状態になっている。香りは漂わない。古い漢詩等において「冬でも青い葉を茂らせる」という文脈で唄われている「蘭」は,決してフジバカマ(Eupatorium fortunei)ではあり得ない。 ...続きを見る
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2015/12/27 16:51

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
電脳中年Aさん

多花性のシンピジウム類なのでしょうね、実際 この時期に開花するシンピジウムを実際育てれば解るのですが、花が古くなるにつれ芳香が強くなっていく固体が多数あります。
※どうですかね 風向きにもよりますが、無風の時でさえ開放空間で6〜8Mではもう香りが漂います。

また「フジバカマの類」は冬が近づくにつれ草体が枯れ始め、お世辞にも「秀」とはいいにくいのでしょう。
緑屋
2015/11/09 17:46
緑屋さん

蘭草は古くからあったと思います。

誌に出てくる「蘭」の中には「蘭草」が該当すると解釈しても矛盾しないものも確かにあります。

しかし,圧倒的多数はそうではないです。

これまでの文学者の多くは,丹念に検討する手間を省き,「蘭=藤袴=フジバカマ」でやっつけ仕事しかしてこなかったら,自然科学上の知見を基礎とする場合には「ありえない」ものとして完全否定する以外のないような解釈をする結果となっているのだと理解しています。手抜きはいかんです。


電脳中年A
2015/11/10 06:13

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