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里山観察隊のTさんからメールが届き,湿地の野草観察会を実施するから参加するように誘われた。これまで自生地を知らなかった野草の花も観られるらしいというので,参加することにした。朝8時半に集合し,目的の湿地まで行き,そこから更に田圃の雑草などの花を観て回った。曇りとはいえ蒸し暑く,ちょっと厳しかったけど,とても楽しかった。 集合場所である自然観察の森のすぐ近くに野原のようになった小さな原野状の場所がある。そこに立ち寄って観察してみたら,ヒキヨモギなど実に様々な植物が生えていた。 ヒキヨモギ(Siphonostegia chinensis Benth.)は,ゴマノハグサ科ヒキヨモギ属に属し,北海道,本州,四国,九州のほか,朝鮮,中国,台湾などに分布し,日当りの良い低山に生育する半寄生の1年草ということだ。ヒキヨモギは,「ヨモギ」という名がついているけれどもキク科に属するヨモギとは無関係の植物で,葉がヨモギに似ていることからその名があるらしい。ススキなどに寄生して栄養を奪いながら生活している半寄生植物ということなのだが,農家でススキを必要としなくなったため,ススキを得るための草地が減少し,そのためにヒキヨモギを観ることのできる機会も大幅に減少してしまっているとのこと。 ヨモギと言えば,ヒキヨモギの生えていた場所のすぐ近くにオトコヨモギも生えており,花を咲かせていた。 そのほかに,ヤマハギ,イブキボウフウ,コマツナギ,イヌコウジュ,キツネノマゴなどが花を咲かせていた。 その場所からは,比較的交通量の多い道路の脇の歩道をしばらく歩いた。道端には,オオニシキソウ,クワクサ,ヤハズソウなどが花を咲かせていた。オオニシキソウの花は,とても小さく目立たないのだが,よく観ると面白い形をしている。オオニシキソウに限らずトウダイグサ(ユーフォルビア)の仲間はどれもかなり個性的で,どちらかというとちょっと変わり者の植物のような気がする。(笑) そのようにしてブラブラ歩きながら,畑や田圃の中を通る細い道を抜け,目的地である湿地にたどりついた。意外と市街地に近いのでびっくり。そこは,一見すると単なる休耕田のように見える場所なのだが,ヨシやガマなどが侵入しないように丁寧に管理されている場所だった。推測だが,その土地の所有者の方が湿地の野生植物の重要性を認識し,大事に管理されているのだろうと思う。ただし,道路脇に木の杭の列が打ち込まれていたことからすると,そう遠くない将来,その場所は埋められて道路になってしまうのではないかと思う。それによって貴重な自然がまた一つ失われてしまう。それでなくても日本全体で湿地が急激に減少しており,それが地球温暖化の大きな要因の一つともなっており,また,生物の多様性を危機的なまでに損なう原因ともなっている。為政者の多くはそんなことなど一切おかまいなしに自分とその支援者達の金銭的利益を獲得することしか考えていない。とても残念なことだと思う。しかし,単なる一市民としては,そのような現実の前にただ呆然とするしかない。せめて,その場所に生えている希少植物の中の何株かを安全な場所に移動させてやることくらいしかできない。私には,そのために何か助力できることがあるだろうか・・・? さて,現状でその湿地を観察してみると,狭い場所ながら実に素晴らしい湿地だと思った。かつては同じような湿地が日本中のどこにでもあったはずなのだが,現在ではそのような場所を探すのに一苦労する。 そこでは,シソクサ,アメリカキカシグサ,キクモ,ホシクサ,アゼトウガラシ,ミゾカクシ(アゼムシロ),イボクサ,コナギ,オモダカなどが花を咲かせていたほか,ミズニラも生えており,その胞子嚢を観察することができた。 シソクサ(Limnophila aromatica (Lam.) Merrill)は,ゴマノハグサ科シソクサ属に属し,本州(関東地方以西),四国,九州,沖縄のほか,朝鮮,中国〜東南アジア〜オーストラリアに分布し,湿地に生育する1年草ということだ。今回観た場所に生えている個体数は非常に少なかったので,その花の写真を撮れたことは非常に幸運だった。 アゼトウガラシ,キクモ,ミゾカクシ(アゼムシロ),イボクサ,コナギは,かなり多数の個体を観ることができた。特にこれだけ多くのアゼトウガラシが生えている場所は,滅多にない。「素晴らしい!」のひとこと。 この湿地には,帰化植物もちゃんと繁茂していた。(笑) 帰化植物の中で最も個体数が多かったのは,アメリカキカシグサだった。アメリカキカシグサ(Rotala ramosior (L.) Koehne )は,ミソハギ科キカシグサ属に属し,北アメリカ南部〜熱帯アメリカ原産で,低地の湿地などに生育する1年草ということだ。同じく帰化植物であるホソバヒメミソハギ(Ammannia Coccinea Rottb.)と全体の形が似ているが,ずっと小柄な植物で,花の形も全く異なる。 この湿地には,現在では希少種となってしまっている植物がたくさん生えている。個体数はそう多いとは言えない。でも,しっかり生きている。可能な限り小さくしてみたミニチュアサイズのネギボウズのような形をしたホシクサが本当に小さな星のような花を咲かせているのを観て感激。 これらのほか,何種類かのカヤツリグサ科の植物やシダ植物を観た。シダ植物の中では,何と言ってもミズニラに驚いた。水中部分に大きな胞子嚢がある。珍しいので,その写真を撮った。 このあと,更に田圃の雑草などを観察しながらのんびりと散策した。今回観た植物の中でまだ紹介していないものについては,別途紹介する機会もあるだろうと思う。 このようにしてぐるりと水田をまわり,自然観察の森を通って事務棟前で解散した。 私を含め弁当を持参した人々は,そこで歓談しながら弁当を食べた。 私には,本日の感想文(200字)を書くという宿題みたいなものが残った。 小学校のころから「感想文」は苦手なんだけどな・・・(笑) ヒキヨモギ(引蓬) http://www.wildplants.sakura.ne.jp/goubenkarui/hikiyomogi.htm シソクサ http://homepage.mac.com/n_yoshiyuki/hana/sisokusa.html Rotala ramosior (L.) Koehne http://www.missouriplants.com/Pinkopp/Rotala_ramosior_page.html Rotala ramosior (L.) Koehne http://plants.usda.gov/java/profile?symbol=RORA ミズニラ http://www.bekkoame.ne.jp/~chaca/mizunira.htm |
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